今回紹介する2つの踏切はいずれも「粘着式鉄道での最急勾配区間にある踏切」である。どちらも似たような立地の踏切のため、まとめて紹介する。
(いきなりド逆光ですみません…)
箱根登山鉄道には粘着式鉄道(ケーブルカーなどではなく、いわゆる「普通鉄道」のこと)においては最急勾配である80‰の坂が存在するが、その急坂区間に2か所踏切がある。
踏切は第4種踏切であり、警報機・遮断機等はない。また、見ての通りクルマは渡れず、「車両通行止め」の道路標識も立っているので自転車も通れない。
踏切より箱根湯本方面を除く。実際見てみると結構な急勾配ではあるが、「急勾配区間の踏切」という点では、踏切幅も狭いのであまり感じにくい気もする(個人的に)。
正面に信号機があるが、あれは上大平台信号場というスイッチバック信号場のものである。
反対側の強羅方面。80‰の坂は歩行者にとっては大したことなさそうに見えるものだが、鉄道にとっては特殊装備が無ければ登れないほどの急坂なのである。踏切周囲の道にも平坦な場所がほとんどないので、比較対象となるものが架線柱くらいしかないが、それでも実感しにくい。
渡った場所より。かなり山間な感じがするが、あたりは山荘が多く、道も狭い。ここに辿り着くにも、慣れていないと道に迷いそうなほど入り組んでおり、実際たどり着くのに苦労した。
電車が坂を下ってきた。カーブで見通しの悪い場所であるが、周囲が静寂な場所なので電車が接近してくると音がするし、人通りもあまり無いので問題ないだろう。
こちらは荏原踏切のさらに上(強羅方面)にある。形態としては似たような第4種踏切である。
前後に階段やクランクがあるので、自転車も物理的にわたりにくい(そもそもこんな場所に自転車は持ち込まないだろう)。
ここは踏切名が凄い。「隧道前踏切」とはあまり無い名前だと思う。「トンネル前踏切」じゃないのは個人的にプラスポイント(←何の?)。
箱根湯本方面を望む。前方のカーブの先に荏原踏切がある。このあたりもまだまだ80‰の急坂は続いている。
強羅方面。目の前に踏切名の元となった大平台隧道が見える。
ところで線路わきに並んでいる黒い物体は、ライトアップ用の電灯である。この周辺は梅雨の季節にアジサイが咲き乱れ、その間を電車が進む光景が見られる。その際はこのあたりもカメラマンが多く集まるらしく、この踏切にも警備員が配置されるとか。
反対側の様子。注意書きが立札に書かれている。
隧道を抜けて来る箱根湯本行き電車。抑速ブレーキの音を響かせながらゆっくりと下って行った。