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旭町1号踏切

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 福岡県大牟田市には、近年ほとんど見なくなったワイヤー遮断機踏切が残っている。
 正面の歩道橋の向こうにワイヤー遮断機が見える。


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 ここの路線は三井化学専用線で、乗車することは出来ない貨物専用線である。
 専用線にしては珍しく電化されているのが特徴。


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 専用線は大牟田駅構内扱いである「仮屋川操車場」と「宮浦駅」の間を結んでいる。前者がJR貨物との中継点で、後者が専用線の目的地である工場側の駅になっている。
 写真は仮屋川方面を望む。左の建物は踏切の操作室である。


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 宮浦駅方面を望む。専用線の距離はそこまで長くない。昔は他の路線もあり、旅客輸送も行っていたようだ。



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 踏切自体は踏切信号があるので、一時停止せずに通過できる。ワイヤー以外は特に目立つ装飾は無い。



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 南側にはどちらも側道が分岐している。何叉路踏切と言うわけではないが、こちらの側道は踏切が閉まっていると合流不可能である。



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 側道から見る。こちらからだと一時停止が必要になる。



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 先ほどの写真にもあった操作室。列車が通過する時間帯には係員が配置される。


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 ここで面白いのは、踏切のワイヤー遮断機を、操作室から直接駆動させているところである。
 操作室側は直に、線路を挟んで逆側は写真のように線路の下をワイヤーが通過している。
 この専用鉄道では他にも、仮屋川操車場の構内ポイントを、操作室からクランク棒等を介して直接駆動している点も特徴的である。


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 列車は定期列車が朝に2往復設定されており、朝に訪ねれば踏切が閉まっている風景に比較的簡単に会える。警報音はスピーカー式なので、通常の電子音であり、ややうるさい。


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 仮屋川行き列車が来た。
 先頭の機関車はこれも今時珍しい凸型電気機関車で、1936年製の古典機18号である。積荷は濃硝酸・濃硫酸が多く、コキ200型貨車を数量繋いでいることが多い。


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 仮屋川に着いた列車は貨車だけ切り離し、18号機関車は単機で宮浦へ戻っていく。この後再び機関車が単独で仮屋川に出向き、別の貨車編成を牽いて宮浦まで運ぶ、計2往復が定期列車になっている。




 ここで余談になるが、この専用線近辺の貨物列車の運行をまとめてみる。
 ※時刻は撮影当時のものなので参考程度に。

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 まず8時前に大牟田駅に濃硝酸・濃硫酸を積んだ貨物列車が入線してくる。これは宮浦の工場行きの列車である。
 次いで8時過ぎに2枚前の写真のように、旭町1号踏切を工場発列車が仮屋川方面へ通過し、仮屋川に貨車を置いて、機関車はすぐに単独で宮浦へ戻る。


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 大牟田に着いた工場行き貨物列車は折り返し、9時過ぎに入換機関車(当時はDE10型)の牽引で仮屋川操車場まで運ばれる。仮屋川操車場は大牟田駅の構内扱いであるが、駅からは結構離れているうえ、両線の接続部には架線が無いことから、ディーゼル機関車の牽引になる。
 この時点で仮屋川では工場行きと工場発の2本の貨物編成が並んでいることになる。

 続いて9時半ごろ、旭町1号踏切がみたび稼働し、宮浦から18号機関車が単機で仮屋川に向かう。

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 ここが中継地点の仮屋川操車場。
 仮屋川に着いた18号機関車は工場行きの編成を繋いで、9時半過ぎにすぐ折り返し、宮浦まで貨物を運んでいく。
 一方、JRのDE10は既に工場発の編成を繋いで待機している。


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 場所が代わってこちらは宮浦駅。 
 宮浦に着いた工場行きの列車はすぐに編成がばらされる。18号機関車の仕業はこれで今日の分は終わりになるようだ。


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 宮浦駅から工場までの間は、別の機関車(写真は12号機関車)が入換に当たる。機関車の後ろに付いているのはバッテリー車で、この電気機関車はバッテリーで動いているため、パンタグラフが下げられている。パンタを使わないのは扱っている製品が火花で引火しないようにするためらしい。


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 12号機関車はコキ200を一両ずつ工場を引き入れている。何度も往復するため、宮浦駅での入換が終わるのは11時頃になる(編成の長さによって変わるかもしれない)。


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 宮浦の入換が行われている間、10時半前頃に仮屋川に停まっていた工場発の入換列車がようやく動き出す。


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 大牟田で貨物の電気機関車に交換した列車は、12時頃に折り返し大牟田を出発し、濃硝酸の送り先である黒崎駅へ向かっていく。

 以上が主な流れになる。ほぼ毎日走っているようなので、ワイヤー式踏切も合わせて観ているだけでも興味深い。

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