立山砂防軌道とは、富山県立山町にある千寿ケ原連絡所を起点として、常願寺川を遡り、18km先の水谷連絡所までの間を走る工事用軌道で、国の直轄事業である常願寺川流域の砂防施設建設に伴う資材・人員の輸送を目的としており、一般には開放されていない。
しかし麓の千寿ケ原連絡所は富山地鉄立山駅に近く、立山カルデラ砂防博物館の裏手を回ると、その路線にある唯一の自動踏切が見える。
正面の道は踏切に続いているのだが閉鎖されているので、仕方なく右手の通路を辿る。
通路はそのままトンネルに入り、軌道をくぐる形となるが、そこからも見える通り、かなり立派な踏切である。
同じ場所から右を見ると、砂防軌道の車庫が見える。この日は祝日なのでシャッターが閉まっていたが、運転日はトロッコ機関車などが頻繁に出入りする。
トンネルを抜けて反対側からアプローチしたが、やはり柵があって立ち入りできない。
そもそも素朴な疑問だが、この踏切は必要なのだろうか。一般通行者は今自分が通ってきたようにトンネルを潜ればこちら側に安全に出れるし、歩行者しか通れないこの踏切の存在意義がいまだによくわからない。
ただ、元々踏切道が先にあり、後からトンネルが開通したとのことで、トンネル開通と同時に通行止めになったのかもしれない。
全体像はこんな感じ。
踏切道は手前に階段があることもあり、前述の通り歩行者専用で、コンクリートで固められた簡易なものである。
同じ場所から水谷方面を望む。路線はここから数多くのスイッチバックを経由して、常願寺川を遡ってゆく。奥の左カーブの先には早速1回目のスイッチバックも待っている。
千寿ケ原方面。もうこの場所は構内と言ってもよく、トロッコ貨車もちらっと見える。
左手が常願寺川で、河川敷に観光客用の駐車場が設置され、遊歩道もある。
この踏切、よく見ると警報機に信号機や踏切反応灯が付随している。一般鉄道でも同様の形態は時々見られるが、多くは無い。
画面右上にカーブミラーが見えるが、あそこは道路では無く、この路線の行く先である。あそこまでスイッチバックを駆使して上り、さらにどんどんと高度を上げ、道中連続18段スイッチバックも通過し、水谷連絡所まで2時間近くかけて走行する。
踏切と河川敷の駐車場との間に、このような線路が敷かれている。ポイント右手はトロッコ車両の展示線、直進は緩い坂を経て、千寿ケ原構内に続いている。
反対側。この線路は訓練軌道と呼ばれており、時折訓練列車が走るらしい。ホームのようなのが見えるが、一般客を乗せて走ったこともあるらしい。この線路は約2km続いており、道中にはスイッチバックもある。
ちなみに線路の軌間は610mm。一般鉄道でのナローゲージは762mmなので、それより小さい。
そしてトロッコ展示レーンにはその名の通り列車が展示してある。加藤製作所製の4t機関車と客車が2両。4t車はかなり前から静態保存状態であるが、綺麗に保存されている。