この踏切は東急東横線にあるのだが、通過する列車のほとんどは東急目黒線の列車となっている。
その理由は東横線は高架上を走っているからである。
東横線の田園調布~日吉間は路線別の複々線になっており、東横線と目黒線の複線が並行している形となっているが、この踏切を含む武蔵小杉~元住吉間のみ、東横線が高架・目黒線が地上の上下2層式の複々線になっているわけで、それゆえこのような踏切が1か所存在する(なお、田園調布~日吉間は戸籍上東横線のみであり、目黒線は正しくは田園調布以北の路線名であるため、この区間は単に東横線の線増扱いとなっている)。
武蔵小杉(渋谷・目黒)方面を望む。両線とも営業列車が通る線路は分けられており、この場所を東横線の営業列車が通ることは無い。
ただ、元々は東横線単独の複線だったときはこの区間は地上区間しかなく、この踏切を東横線電車が通過していた。
反対の元住吉(元町中華街・日吉)方面を見ると、ポイントで別れる線路と、高架へ上っていく線路が見える。
高架に上っていく線路が目黒線の本線で、上りきったところに元住吉駅がある。一方、ポイントで分かれていく線路は元住吉検車区への回送線であり、入出庫列車が使用する。
同検車区には東横線電車も入庫するため、その際はこの踏切を通過する東横線回送電車が見れる。
ズームしてみる。この先の駅の手前地上にはもう一か所踏切がある(元住吉1号踏切)が、本線は高架化されたので入出庫線専用の踏切となっている。
ところで2つの踏切名を比べてみるとわかるが、地上時代の元住吉駅はこの2つの踏切との間、つまり写真で見えている駅よりも手前の位置にあった。地上時代の同駅は待避線を備えたホーム2面4線の駅で、待避線へのポイントはこの踏切のすぐ近くの位置にあった。
高架化に当たって駅自体の位置が0.2kmほど横浜寄りに移ったわけだ。
この武蔵小杉1号踏切は立体化工事に取り残された踏切ということになるが、東横線は上に行ったとはいえ、目黒線も結構な本数が走っており、時間帯によっては開かずの踏切になるようだ。
また、この駅間は珍しく直線で構成されているので、普通列車も含め通過速度が速い。
加えてこの踏切は交通量も多い。付近の踏切は前述の元住吉1号踏切くらいで、あまり横断できる場所が無いのだ。クルマだけでなく歩行者や自転車も多数通る。
そういった実情も踏まえているものと思われるが、踏切解消に向けた工事が進められている。地上に残った目黒線は車庫への入出庫線への分岐などの都合で、もう高架化は無理なため、道路側をトンネルにしてしまうというわけである。こうなるとこの踏切も消える公算が大である。
珍しく住所が番地まで書かれている踏切名看板。
防犯のための青色LED電灯が設置されているこの踏切は、防犯灯の「青」・電灯の「白」・列車接近灯の「黄」に加え、踏切警報灯の「赤」といったように多数の色の灯火が見られる。
踏切を通過する目黒線下り急行。同線は都心部で東京メトロ南北線・都営三田線と相互乗り入れしている関係上、多くの鉄道会社の所属する電車が見れる。
写真は南北線を挟んで埼玉県側で相互乗り入れしている埼玉高速鉄道の車両。3社直通運転である。