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(踏切名不詳)

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イメージ 1

 太平洋を望む岬に佇む第3種踏切。一応駅構内なので構内踏切の一種かと思われるが、周囲に踏切名を示す看板は無い。



イメージ 2

 警報灯は対になっておらず互いに違う方を向いている。列車本数も少ない場所かつ、通行する人も少なそうであるが、灯器はしっかりLEDで作られている。
 この踏切は意外と渡る距離が長い。線路は手前2本のほかに、奥の少し高い場所に1本、計3本を跨いでいる。その間に渡し板もなく砂利道しかないのが何ともワイルド。車止めもあるので自動車は渡ることは出来ない。


イメージ 3

 渡り始めて左を見た風景。この路線の起点方向を望んだものだ。出発信号機がある。


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 そして駅方向…。ムム、廃線のようだ。


イメージ 5

 同じ方向を中州部分から望む。真っ黒の何かで埋もれている。
 実はこの踏切を通る路線は、この物体を運ぶ貨物鉄道なのである。


イメージ 6

 ※別の場所で撮影。
 
 この路線は「太平洋石炭販売輸送臨海線」といい、北海道は釧路市の南東にある春採(はるとり)駅から知人(しれと)を結ぶ全長4kmの貨物専用鉄道である。かつて前身の釧路臨港鉄道だった時代は旅客輸送もあり、国鉄にも接続していたのだが、現在は石炭輸送のみに特化しており、旅客輸送は行っていないし、JR線とも接続していない。
 この路線は現在北海道唯一の「私鉄」として荷があるときだけ1日数往復運転されている(ダイヤはありそうで無い感じ。始発だけは決まった時間に出ているようだ)。
 
 そして今回紹介する踏切はその路線の終点、知人駅に隣接した場所にある。


イメージ 7

 再び踏切からみた風景。先ほどの複線線路は左側に見え、一段高い単線線路より路線の起点方向、つまり春採駅方向を望む。こちらはレール踏面も光っていて現役であることがわかる。
 先ほどの錆びた複線はもともと旅客輸送していたときに使われていたと見え、この知人駅より先にもかつては線路が伸びていた。現在は使われてなさそうに見えるが、出発信号機が生きているので現役なのだろう。


イメージ 8

 同じ位置から反対方向の知人駅方向。貨物列車の荷は石炭のみで、ここ知人駅ではその荷を降ろすわけであるが、列車編成が長いために奥のポイントを境に半分に分割し、それぞれ左右に分かれて荷降ろしする方法が取られている。また機回し線もないので、列車は常に前後に機関車が付いたプッシュプル運転となっている。


イメージ 9

 知人駅の荷降ろし用桟橋が見える。あのコンクリート製の橋の上で列車は停車し、貨車を遠隔操作して自動で石炭を下へ落とす。荷降ろし作業は貨車の分割併合を含めて非常に迅速で、列車の出発準備ができ次第すぐに春採駅に向けて発車する。


イメージ 10

 そんなわけで、列車が来たときはこの踏切も鳴り続けて渡れなくなると思われる(肝心の列車は時間が読めず、ここでは撮影できていない…)。
 奥の目立つ建物は釧路埼灯台。


イメージ 11

 踏切板も一応あるのだが、砂利に埋もれている。


イメージ 12

 踏切を渡ると太平洋を望む砂浜に出る。ここからどこか公道に繋がっているわけでもないので、当然踏切通行者は少ない。


イメージ 13

 最後にもうひとつ列車の写真を。この臨海線で使用される機関車はいくつかあるが、写真のDE601は国鉄DF50が去ってJR貨物のDF200が出来るまで、日本唯一の電気式ディーゼル機関車であった。見ての通り特異な顔を持ち、エンドキャブ方式であったり、特徴的なエンジン音等、日本の機関車とは異質な感じが人気を呼んでいる(実際に設計はアメリカで行われている)。
 また、貨車においても日本ではここでしか見られない「連接式」が採用されており、独特のジョイント音がする。
 
 最後に、この路線はここ以外にも何か所か公道と交差する踏切が存在するが、それらにはだいたい踏切名が付いており、今回紹介した踏切だけが何もなかった。あえていうなら「知人構内踏切」であろうが、真相はわからない…。



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